どうも、映画まで待ちきれないサドル・ドーナツです。
今回は、俗に言う島編がまるっと入ったちいかわの8巻について語っていくぞー。夏公開の映画の内容に触れるため注意してください。
あらすじ
日々の労働にちょっと疲れを感じていたちいかわたち。そんな時、空から舞い降りたチラシにみんな目を奪われる。『島でのカンタンな討伐で100倍の報酬をもらおう』。思い思いの目的でみんなが島に大集合。でもその島では事件が起きていて……なんと、島に住む人魚が食べられたのだという。青い海に白い雲、島に潜む秘密。ちいかわたちの一夏の冒険譚!
感想
ちいかわたちの世界の法則は至極簡単で、弱肉強食、これに尽きる。
強い者は多くを手にし、弱い者は生き方も死に方も選べない。そんな厳しいルールが作中では徹底して描かれている。
では、弱者がそのルールを破り、強者を食らった場合に何が起きるのか。この8巻に収録されている島編で描かれているのはそういうことである。
一葉と双葉は力に蹂躙された。この話はこれでお終い。強い者は強さ故に罰を受けずに終わる。そのはずだった。しかし、一葉は瀕死の双葉のために人魚を狩った。強い者に食らいついてしまったのである。
身の丈に合わない不死を手に入れた二人は最終的にセイレーンと人魚に捕捉されて終わる。恐らく、『なんかずっとくらいとこ』に閉じ込められたことが示唆されている。
この話は勧善懲悪ではない。そもそも弱肉強食の世界に善も悪もない。ただ力の行使がそこにあるだけ。
だから我々はただ受け入れるしかないのだ、この結末を。
……そうはわかっていても飲み込めねぇよこの物語! というのが感想です。
ちいかわの決断
物語の終盤、唯一真実を悟ったちいかわは一葉と双葉に何かを告げようとする。
だが、ハチワレの存在を思い出して踏みとどまる。踏みとどまってまたみんなの輪の中に帰っていく。
長かった島編の物語は多分、このちいかわの心の動きを描くために存在していたのだと思えるくらいにドラマチックなこの場面。果たしてちいかわは何を思ったのだろう。
僕的には、ちいかわはこの島での思い出を壊したくなかったのではないかと思っている。ちいかわの思い出というよりは、何も知らないハチワレの思い出を真実で汚したくなかった、そんな優しさがちいかわの糾弾を止めたのだと思う。
現に、ちいかわの手から人魚のウロコは離れた。全ては曖昧な記憶の中に留めておくのが良いと、ちいかわは思ったのだと僕は信じたい。
ちいかわは様々な経験を経て成長している。そういう成熟を見せてもおかしくはないのだ。
島編はそんな切なさを秘めた物語だった。
