SaBaCaN ~趣味の缶詰~

とりあえずは自分の趣味に対するレビューを書いていきます。

ラストマイルを観て〜世界を止める覚悟〜

 地上波放送観忘れてたサドル・ドーナツです。

 いやーまじで観忘れてた。

 当時観た感想を思い出しながら書きますのでだいぶ曖昧ですけども、とりあえず書きます。

 あとネタバレ結構入りますのでご了承ください。

あらすじ

 ブラックフライデーの前夜、大手ショッピングサイトから配送された荷物が爆発する事件が発生。それを皮切りに同じく配送された荷物から連続で爆発が起きていく。

 巨大物流倉庫のセンター長・舟渡エレナとチームマネージャー・梨本孔は爆発を止めることができるのか──

人はどうして働くのだろう

 は、働きたくねぇ〜〜〜〜っ!

 この映画観てると働きたくなくなります。あぁ、この物流倉庫はこんだけの人が滅私奉公で働かなくちゃ動かないんだなと思うと胃が重くなります。

 そりゃあ、山﨑佑も止めたくなりますよ。僕も多分病みます。

 山崎佑が飛び降りるシーン、妙な高揚感を感じてすごいトラウマなんですよねー。誰も現実を受け止められてなくて、周りも止めないし、飛び降りる本人も何かハイになってる感じが、現実離れしたリアリティを感じて寒気がします。

 アンナチュラル4話でもやってましたけども、仕事と命の天秤って時折狂うんですよね。自分の生活のために仕事があるのか、仕事のために自分の存在があるのかわからなくなってしまうんですよねー。

 舟渡エレナも他人の命と自分の仕事の天秤が最初狂っていてものすごく不安を感じるキャラクターなんですよねー。それが後半化けるんだから面白い。

働く者への賛歌

 でも、同時に働くって素晴らしいという物語でもあるんですよ。誰かが一生懸命働いてるから爆弾は見つかるし、洗濯機はあそこにあったんです。周りに回って「因」が「果」を呼び寄せるのです。

 そして、一生懸命働いたからこそ、あの宅配の親子はあの娘から笑顔をもらえたんです。

 この映画はあの瞬間のためにあったと言っても過言ではない気がします。あの宅配の親子があの家族の命を守った。それは紛れもなくハッピーエンドなんです。

最後の爆弾

 もちろん、ロッカーの式のことです。山崎佑がベルトコンベアを止めるために導き出した式。

 最後の必死に探し回るシーンを見るに、あの五十嵐という統括本部長向けの爆弾ですよね。

 あれを見つけた時に何が起きるのか、あれは我々の想像に任せられていますよね。まぁ、だいたい想像はつきますが、きっと五十嵐の人生にとってとんでもない穴になることでしょう。

誰が為の『がらくた』

 やはり米津玄師。米津玄師はすごい。

 この曲があることによって、この事件の深さがまるで違ってくる。この映画があることでこの曲の理解がさらに深まる。米津玄師はしょっちゅうこの無限ループを生み出すんですよね。

 今回のこの曲は、過労を苦に飛び降りてしまった山崎佑と、その恋人・筧まりかの曲なんですよねー。まさかその視点で来るとは思わず、この曲である意味がわかった瞬間、ものすごく切なくてやらせない気持ちになるんですよね。

 『壊れていても構いません』。廃品回収車のそんなフレーズから生まれたこの曲ですが、でもそれでも世界を憎むのは止められなかったんです。筧まりかは罪を重ね、そして死んでしまった。それにどれだけの決意が必要であったか、この曲がそれを表現してくれる。

例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても

構わないから 僕のそばで生きていてよ

 それは、筧まりかが飛び降りる山崎佑に届けたかった言葉で、そして動かない山崎佑が焼死する筧まりかに届けたかった言葉なんですよ。

 でも届かなかった。この「ラストマイル」は途切れてしまった。流通をテーマにしたこの映画でそれはあまりに辛い皮肉です。

 

 いやーこの映画を観ると迂闊に配達逃すことができなくなってしまいます。いつも届けてくださってる方に敬礼、です。