今巻を読むのに苦労したサドル・ドーナツです。
さて、今回の話は1975年に張っておいた伏線を、1995年辺りで回収するというとんでもない話です。しかもそれが編集部のごたごたもあり、二年以上かけてようやく終結するという、かなり壮大な話になってしまったのだというのです。
20年越しの伏線回収……日本で言うと『ワンピース』が初期の伏線を回収するとそんくらいになるのでしょうかね。
その1975年の話がこの記事です↓
いやぁ、結構読むのが辛かったですね。
流石に二年以上連載した何個かの雑誌を全て収録するわけにもいかないようで、間に解説を入れつつ、かいつまんで話をされるのですが、段々時系列とか、何があってこうなったのかっていうのがグルグルしてきてわからなくなってくるんですよねー。自分の理解力が追いついていないだけなのでしょうが。
かいつままれた話自体はとても面白いんですが、合間合間が気になりすぎるんですよねぇ。
あと、散々引っ張っといて結局お前かよ! って感じはします。
やっぱり、編集部のごたごたがなくて、もっと早く切り上げてたら違ってきたのかもしれないんですかねぇ。
あらすじ
五年前のあの事件。ピーターの恋人グウェン・ステイシーのクローンを巡って、ジャッカルことマイルス・ウォーレンと対峙し、自らのクローンと戦ったあの事件。
葬ったはずのクローンは生きていた。
クローンはベン・ライリーと名乗り、揺れ動くアイデンティティの中でスカーレット・スパイダーとして活動を始めた。
自分はイミテーションでしかないのか。それとも本物になり得る何かがあるのか。
大いなる責任を胸に彼は空を駆ける。
自己の単為生殖
自分がもう一人いたら、もしくは自分が後からできたもう一人でしかなかったら……そんな哲学的なシミュレーションをスパイダーマンで行ったのが今作品と言えるでしょう。
僕だったら「あ、そう」で済みそうですが、それは自分が“一人目”である絶対的な自信があるからそう言えるだけなのかもしれません。
ピーターのクローンである“彼”は、自分がピーターとして作られた存在でしかないことに苦悩します。記憶も経験も、心も魂も後付けされたものでしかないことに不安と怒りを覚え、ピーターであることから逃げようとします。
けれど…僕は彼じゃない。
彼の規律には従わない。
今も…
この先も…
…二度と…
しかし、染み付いたピーターの善性が、思わず人を助けてしまった時に彼は気づくのです。愛するおばとおじの存在が、善性を作っているのだと。
5年前のあの日、
僕は誓った…
パーカー家の理想を、
決して捨てないと
こうして彼はおじの名とおばの旧姓を組み合わせてベン・ライリーと名乗るのでした。それは愛する二人に恥じぬような人生を送ることへの強い決心の現れでした。
どちらが主か
ベンはピーターの生活の邪魔にならないようにプライベートでは干渉しないように生活をしています。彼はあくまでピーターではないので、別々の暮らしをしなくてはならないのです。ここでピーターの人生の幸せを羨んだりはしません。
むしろ幸せの絶頂にあるピーターの事を思って、彼の目の前から消えることを選択します。
放浪していた歳月が…今の僕を形作った。
僕らは同じ過去と、同じ記憶を持ってるが
…その歳月が僕を別人に変えた
時間の蓄積が人を形作る。ならば、違う時間を過ごし始めた二人はもう別の運命を歩み始めていたんですね。ベンにはそれが痛いほどにわかっていた。
しかし、しばらくしてその関係は崩壊します。
ピーターとベンの遺伝子を比較したところ衝撃の事実が明らかに。
ベンこそがオリジナルで、ピーターこそがクローンだったのです。
5年前(リアル時間的には20年前)のあの時、生き残ったのはクローン体だったのです。
これには二人とも大きく動揺し、その場で殴り合いに。
絶対に嘘だ! こんなことがあるわけない!
僕の人生を盗ませはしない!
事実が受け入れられないピーター。
5年の歳月を奪われたのは、この僕なんだ!
自分の苦悩が意味の無いものとなったことに憤りを感じるベン。
このことが原因でピーターはジャッカルの元に身を寄せるようになってしまいます。
悲しいのは、結局は二人ともアイデンティティに縛られた存在だったと分かってしまったことです。その呪縛から抜け出すのは容易ではないと思いますが、ヒーローなら抜け出せると期待してしまいました。
驚嘆すべきスパイダーマン
しかし、二人は幾つかの事件を通し、再び絆を取り戻していきます。
ピーターは自分がクローンであることを認め、スパイダーマンの名前とスーツをベンに受け継がせようとします。それがあるべき姿であると信じて。
この時は、ベンは結論を出しませんが、後になってピーターはスパイダーマンとしてMJを守ることに限界を感じます。その時になってベンは、改めてスパイダーマンとなったのです。センセーショナル・スパイダーマンに。
そこからしばらくは誌面に登場するスパイダーマンの中身はベン・ライリーということになりました。これから先紹介するであろう、『オンスロート』ではベンが登場します。
しかし、そんな日々も長くは続かず、ついにクローン・サーガも終わりを迎えようとします。
これまでの陰謀の裏側にはグリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンがいたことが判明します。ピーターとベンの入れ替わりも偽装で、本当はピーターがオリジナルで、ベンがクローンでした。
何もかもは、ピーターのアイデンティティも含め全てを奪うための策略。
ノーマンとピーターの最終決戦。ベンは身を挺してピーターを守り、ノーマンの策略を打ち砕きます。ベンの死体は朽ち果て、改めてピーターがオリジナルであることがわかります。
ピーターはベンの遺灰をブルックリン橋から撒き、グリーン・ゴブリンは復活の兆しを見せクローン・サーガは幕を閉じます。
……何もかもがグリーン・ゴブリンの策略だったかぁ、とは飲み込めませんねこれ。途中で語られた二人の苦悩とかは読み応えがあったのですが、オチはもうちょっと何とかならなかったのかと……
リアルタイムで追っていた人は、長い間見ていたベン・ライリーの最期がこれか……と虚無感に包まれていたのではないでしょうか。いや、あんまり変なことは言わないでおきましょう。
しかし、クローン・サーガはこれで完全に終わったわけではありません。ベン・ライリーは帰ってきます。
まぁその話はおいおい。だいぶ先にはなりますが。
というわけで次回はまたX-MENに戻ります。
めちゃくちゃ間に『マーヴルクロス』が挟まって来るのですが、時系列の扱いが面倒くさいので今回は扱いません。だから突然時間軸が狂っています。ご了承ください。
では『エイジ・オブ・アポカリプス 1』の記事でお会いしましょう。
See you again!
