御託
実写化って、積分なんですよ。
絵によって表現されていた“リアリティ”を、場を構成する“リアル”に昇華させる積分。
僕は、この二次元から三次元への次元の跳躍を、そこに込められたエネルギーの奔流を観てみたいのです。
と、まぁかっこよく言ってみましたが、かっこよく言って自分の意見の正当性と雰囲気を出しているだけです。
どうやってマンガなどの原作を上手く再現してるのか、その技巧を観てみたいってことなんですよね。
僕は、原作付きの作品は、原作より後に生まれたのだから原作を超えて然るべきだ、と思っておりまして、実写化だとそこにその一要素加えた感じになりますね。
この技巧が僕の価値観とマッチした時に、僕は信じられないほど感動します。
そんな感動を与えてくれた作品をいくつか紹介しますので、ぜひ観てみてください。
8番出口
すみません、いきなりゲームの実写化という変わり種なんですけども、『8番出口』の紹介です。あ、僕自身はゲーム未プレイの実況だけ見てる勢です。(レビュアーにあるまじき姿勢)……
これね、非常に感動した。一応、ホラー映画というくくりだと思うんですけども(諸説ある)、それなのにめちゃくちゃ感動したんですよ。胸が熱くなったんですよ。何でかっていうのはぜひ観ていただきたいんですけども、ニノの最後の演技がね……良すぎた。
皆さんご存じだと思うので説明は軽くで済ましますが、ニノ演じる『男』が、異変を見つけない限り延々と繰り返される地下鉄の通路に迷い込むってお話ですね。
ゲームでは異変を探すのに必死で何気なく見てた背景ですが、実写にしたらこんなにも圧が強い閉鎖空間だったのかとびっくりします。無機質で、無限のように見えて有限しかないこの通路に対し、異変もないのに恐怖を抱きました。リアルだからこそ出来る演出だったのかもしれません。
あとは、ストーリー性と言いますか、テーマ性がすごくよかったですよね。身の回りに起きている異変、あなたは見逃していませんか? 暗にそう問いかけてきます。この“暗に”というのが凄く巧かったと思います。映画を噛みしめて初めて問いに気が付いた時、改めて胸がじーんとなるんですよねこの映画は。
ゲームやりたいけど多分酔うんだよなぁ……
ぐらんぶる
離島にある大学に入ったと思ったら、何故か全裸で構内に寝ていた!
果たして主人公にこの謎が解けるのか!?
そんな感じです。いや嘘かもしれない。でもこれネタバレ無しで観てみてほしいしな……
ビジュアル面としてはマンガやアニメを再現することは諦めている感じはしますが、それでも違和感のない人で演じています。いや、ケバ子は少し可愛すぎるな……
それはともかくとして、すごいのは中身。原作からしてすんごいカオスなお話ではあるんですが、実写はそれをさらに煮詰めて濃くし、それでいて青春の味もする原作らしい改変が行われてました。歌って踊るなよ、原作にねぇだろうがよ……でもダイビングパートは真摯に爽やかで青春している。グリフィンドールに10点。
あと、原作はかなり長くやっている作品なのですが、それを映画用の尺に驚きの展開と共にまとめていて、思わず膝を叩いて喜んでしまいました。あ、そういう話に持っていくんだ!? オチをそうつけるんだ!? 天才かよ!
こちらを唸らせてくれる良実写ですねぇ!
映画『おそ松さん』
これは……どうなんだろう。元からやりたい放題なのを実写化したから実写化に成功というイメージが薄い……いやでも、めっちゃくちゃ面白かったからな。
上の『ぐらんぶる』と同じ英勉が監督をしている作品なのですが、まぁ巧い映画、そして“笑い”だなと感心してしまいました。
大企業のCEOが、自分の亡き息子に似ていると言いおそ松を養子に迎えようとする。だが、顔が同じ(設定上では)6つ子なら誰でもいいはずだと喧嘩が始まった。結局6人の内1人だけを養子に迎えることになり、6つ子は各々で養子にふさわしい人間になれるよう努力を始めるのであった。
まぁ、どう考えても面白くなりそうにないあらすじなんですけども、こっからカオスを超えたカオスが巻き起こります。
『君の名は』と『カイジ』と『オーシャンズ11』と『7人の侍』が並行して始まって、各々が主導権をうるさく主張するという有様でした。それを松野兄弟6人から余った残りのSnow Manメンバーが終わらせようと奮闘するという話になっています。
イケメンがそれぞれのドラマを真面目に演じれば演じるほど面白くなっていく、というメタ的状況そのものがまた面白くもあります。これはなるほど、このメンバーで実写化をした意味があったというものです。
そして伏線回収が巧み。今までの全てをロジカル(?)に回収してくれる手腕は本当、スタッフに拍手を送りたいと思いました。因果関係でここまで遊んでいいんだ、と感心。それができる制作陣の才能にちょっと感涙しました。
いや、食わず嫌いしなくて良かったぁぁ~~~~っっ!
後編へ続きます。


